2016年10月3日月曜日

逸材@ミスiD【2】


ネットサーフィンの果てに、ミスiD2017のサイトに辿り着いた私・水溶きかたくり子。ファイナリスト一覧の中に「noodle」という逸材を見つけ(前回の記事参照)、ファイナリスト&セミファイナリストを応援するアプリ「CHEERZ」へのリンクをクリックした私は、鮮烈な光景を目にすることに。

ぱちっと目を見開いた女の子の自撮り。目がデカく見える鉄板アングル、斜め上からの自撮り。小首を傾げた自撮り。全身写真の自撮り。「お洋服を買いに来ました」というコメント付きの、試着室からの自撮り。自撮りに次ぐ自撮りに次ぐ自撮り…大量の目がこちらを見つめている。
ミスiDでは、この「CHEERZ」上でより多くの応援を得ることが、選考上プラスとなる。写真の中では可憐な表情を浮かべる女の子たちだが、「少しでも沢山応援(CHEERZ用語で「チアチア」)してもらえるように、可愛く写らなくては」「他の子と差がつく写真にしなくては」という思いが当然あるんだろうな…。
目の前の自撮り写真一枚一枚が、何気ないプライベートショットを装った戦略的なPR写真であることを意識すると、何だか息苦しい。うう。

しかし大量の自撮り写真に紛れて、一枚だけ、緑茶の入った湯呑と急須を撮った写真があることに気付いた。人物は写っておらず、物だけ。
これは…「お茶の精」みたいなキャラなのか。
私は投稿者の名前を検索した。

【逸材2 茂木雅世】


「茶人」。まず肩書にビビる。
茶人と言われたら「千利休」しか浮かばないし、安土桃山時代特有の職業みたいなイメージがあったが、現代の、年齢が5歳も離れてない人(しかも女性)が「茶人」…! 自己紹介には「煎茶道を一生の仕事として選んだ」彼女の、茶への熱烈な想いが綴られている。同世代に、茶についてこんなに熱く語る人がいるんだ…ものすごく気になるので動画を見る。


中国の賢人が描かれた急須をゆるやかに回し、お揃いのちんまりした湯呑にお茶を注ぐ雅世嬢からは、アイドルオーディションという競争の世界を超越した穏やかな空気が漂っていて、心が和む。脇にある、竹っぽい素材の籠も素朴で可愛い。その辺で買えない道具が多い抹茶より気軽にできそう。
全国を回ってお茶を振る舞うのが仕事、と語る雅世嬢。全国各地を巡り、行く先々でお茶を淹れる…毎日PCに向かって仕事してる自分と比べると、なんかドラマチック&ファンタジックな感じがする(もちろん仕事である以上、辛いことだってあるとは本人も語っているけれど)。煎茶を通して、沢山の人に一時のリラックスを提供する人生って素敵だなぁと思う。

「○○道」とか言われると、決まりとかしきたりを間違いなく踏襲しなきゃいけない様式美の世界で大変そうなイメージがあったけど、人をどう和ませるのかを自由な発想で模索してきた過去の茶人たちのエピソードを語る雅世嬢を見ていて、茶の世界は私がイメージしているよりもっとクリエイティブな場なのかも、という認識が芽生えた。そして、茶の可能性への理解を広げるため「ミスiDへのエントリー」という奇策を考える彼女も、クリエイティブであるという点では先人たちに負けてないっす。

私にはアイドルを応援する習慣はないが、好きなバンドが出ているイベントに行った流れで何度かアイドルのライブを見たことがある。点滅するライトを浴びながら、大音量の曲に合わせて歌って踊る女の子たち。オタクたちは推してる子のテーマカラーのサイリウムを振りながら「サイバー! ファイバー!」「あーりん、あーりん、かなこぉー!」みたいな雄叫びを随所で挙げ、ライブが終わったら今度は物販コーナーでグッズを買い漁り、メンバーとチェキを撮ってもらう。熱狂と興奮を創り出すことで、見た人に元気を与えるというのが、いわゆるアイドルの仕事だと感じた。

しかし雅世嬢が創り出すのは、休息や無言のコミュニケーション。そうかぁ。目の前の人を元気にし、「明日を肯定的に生きられるように」なってもらう手段は、熱狂や興奮だけじゃないよなぁ…。そういう逆転の発想が凄いと思った。応援します。いつか彼女のイベントに行って、茶を淹れてもらいたい。あと、ユーチューブの再生回数、もっと増えていいと思う。

もちろんブロマイドも購入&定期的に眺めてます! 脱力感のあるルックスとポーズ、和む。

独断で選ぶ逸材シリーズ、ラスト一人はもう少しお待ちください…

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