//////// あらすじ~結末ぼんやり~ ////////
舞台は19世紀のオーストリア。ハプスブルグ家に生まれたエリザベートは、花嫁修行やフランス語の勉強よりも乗馬を習いたいと言って周囲を困らせる、快活な少女。ある日、サーカスごっこと称して綱渡りをしていたエリザベートは、地面に落下し、意識を失う。生死の境をさまようエリザベートの前に現れたのは、黄泉の国の帝王トート。死のくちづけをしようとするトートに、エリザベートは「私を帰して!!」と叫ぶ。生への希望に溢れたエリザベートの目を見たトートは、その美しさに心を奪われてしまう(人外なのに人間への恋愛感情が…!!)。
トートはエリザベートの願いを聞き入れ、異例の措置ではあるが、彼女を地上に帰すことにした。いつか来るであろう、彼女が心から死を求める瞬間、トートへの愛に目覚める瞬間を待ち続けようという決意を胸に…
その後、エリザベートは皇帝フランツ・ヨーゼフ1世に見初められ、皇后となる。実権を握る皇太后(=姑)のソフィーをはじめ周囲からの重圧に潰されそうになる時期を経て、エリザベートは少しずつ、皇后としてできることを精一杯やろうという自覚を持ち始めた。トートはことあるごとにエリザベートの前に姿を現して誘惑するが、己の生き方を全うしようとするエリザベートはトートを拒絶する。
自分の美貌が武器になると気付き、美容と体型維持に力を入れるエリザベート。オーストリア領だったハンガリーでは彼女の美しさが人々の人気を呼び、エリザベートは自分のやり方で外交に貢献。しかし貧困にあえぐオーストリア国民の間では、王制、そして税金を贅沢な美容法や豪華な服に注ぎ込むエリザベートへの反感が高まっていた。外交で留守がちになったことで子供と過ごす時間も減り、息子ルドルフは寂しさを募らせる。天空からエリザベートを見守るトートは、ハプスブルグ家の時代が終わりつつあると確信していた。
やがて、エリザベートを数々の悲劇が襲う。フランツとのすれ違い、努力するほど離れてゆく国民の心、そしてルドルフとの別れ。彼女の心は、少しずつ死=トートに傾いてゆくのだった…
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というお話です。ファンタジー要素ありの歴史ロマンス、とでも言えばいいんだろうか。
この作品はもともと、オーストリアのウィーン劇場協会オリジナルのミュージカルだった。宝塚歌劇が脚本と歌を日本語に訳しつつ手を加え、初めて上演されたのが20年前。大好評につき再演を重ね、今回の上演は9回目だそう。
主役は宙組トップスターの二人、朝夏まなと(トート役)×実咲凜音(エリザベート役)。
朝夏まなと…衝撃のかっこよさ!!
スラッとした立ち姿+手足長い+気品&キレのある動き+冷酷さと包容力が同居する目元+声ダンディ=2.5次元。
紫メッシュが入った黒ストレートヘアの死神スタイル、美しすぎ。男役を美しく見せるのは、王子様スタイルやスーツだけじゃないんだなぁ…
気付いたら売店でクリアファイル買ってた。
うちの本棚で存在感を振りまくトート閣下(のクリアファイル) |
でもそれに匹敵するぐらい印象的だったのが、ミュージカルナンバーの歌詞。
ドイツ語から日本語に訳されたものなのに、最初から日本人が作詞作曲してるんじゃないかと思うぐらい、言葉とメロディーの切れ目が合ってて自然だった。
例:『私が踊る時』(2:00~)
「踊るなら~選んだ相手と~踊りたい時に~好き~な~音楽で~」
ぴったり。
何でこんなところが気になるのかというと、昔ブロードウェイミュージカルの日本版を見て、歌詞に強烈な違和感を覚えたことがあるから。
曲が一番盛り上がって、声を一番大きくするところに、何でそのあんまり大事じゃない言葉持ってくるのかな…。音の切れ目に一つの単語がまたがってて不自然じゃないかな…。あ、翻訳したナンバーだからしょうがないのか…にしても何とかならなかったのかな…歌いにくくないか。客席でずっとそんなことを考えながら見ていた。
キャストのダンスはキレがあったし、声もよく響いてたし、舞台装置とか照明にも工夫があって綺麗だったけど、ひたすら歌詞が気になってしまい、物語の世界に入っていけなかった…(;_;) 劇場出てからも、釈然としない気持ちで(T-T)
この公演は決して、素人や実績のない劇団によるものではない。知名度高い(チケット代も高い)、自前の劇場も持ってる、修学旅行生も見に来る、実力派俳優も排出してる劇団の公演。
厳しい選抜を勝ち抜いたであろう役者さんが全力で歌って踊ってるのに、歌詞が微妙なだけで、今一つ感動できなくなってしまうのか。もったいない…翻訳ももっと頑張ればいいのに…。
確かに歌詞の内容を正しく伝えるのも大事だろうけど、客としては、それよりも音楽と言葉の心地良いリズムを体感したい。それが私がミュージカルに求めてたものなんだよ…!
それ以来、その劇団のミュージカルには一度も行っていない。
だからエリザベートを見て、それが翻訳モノだったと知った時は驚きだった。
翻訳だと気付かないぐらい自然な翻訳。
タカラジェンヌ達も、歌ってて気持ちよかったんじゃないか…
これが宝塚100年の歴史なのか。
潤色・演出の小池修一郎先生、感動をありがとう。
おまけ:本家『私が踊る時』